ソフトウェア開発の会計実務Q&A
T ソフトウェア開発と売上
Q2. ソフトウェアとコンテンツはどのような区分になっていますでしょうか?
:私どもは携帯電話のコンテンツ配信業務を行っています。大手電話会社を通して利用者に情報を提供しているのですが、大きく2種類あります。1つは、各地域の天気の情報を購入して問い合わせしてくる利用者に流し月額で情報料を頂く仕組みです。もう一つは、有名な漫画のキャラクターを主人公にしたゲームを利用者に使用させ利用時間に応じて利用料を頂く仕組みです。これらにかかる費用の処理をどうしたらよいでしょうか?なお、利用者が大手電話会社を通じて私どものサーバーにアクセスする仕組みは1つ目の天気情報の配信で作成し、ゲームはその仕組みを改造した上で利用しています。
A2. 結論:まず、Q&A1で申し述べたとおり、ソフトウェアはプログラムにより動かす仕組みのことですので、コンテンツのキャラクターや情報自体はソフトウェアではありませんので、原則ソフトウェアとコンテンツは区分して処理することになりますが、区分できないようであればソフトウェアに計上して定期償却しなければなりません。
説明:以下追ってみますと、
@ 利用者が大手携帯電話会社を通じて私どものサーバーにアクセスする仕組みを作成したコスト:これは外部で作成しても自社で作成しても、自社で携帯電話コンテンツ配信に利用するため「自社利用ソフトウェア」として資産計上しサービス提供時より償却します。償却期間は税務上5年となります。
A 自社利用ソフトにおいてゲームコンテンツで追加作業した分:これも自社利用ソフト扱いです。但し、最初の開発分は既に償却していますので、それとは別区分で扱いゲームソフトのサービス提供時から償却を開始します。これも税務上5年で償却します。なお、資本金1億円未満の会社では取得価額30万円未満では税務上資産計上しなくても良いです。このQ&A全体を通じて資本金は1億円未満の会社を想定して申し述べます。
B 1つ目の情報料は明確にソフトウェアではありませんので、費用計上となります。それが利用量に応じる或いは月額で支払う場合には、発生月において原価計上すべきです。先に前払していた場合には、支払時には前渡金として資産計上し、サービス提供に応じて(月額か使用料に応じて)、取り崩し原価計上することになります。
C ゲームの仕組み自身は、プログラムにより動かす仕組みですので自社利用ソフトに該当します。これが先のA携帯電話会社を通じて私どものサーバーにアクセスする仕組みの追加作業と区分できなくとも結構です。両者ともゲームコンテンツの自社利用ソフトですので一緒の区分に集計し同じ償却となります。
D ゲームのキャラクターの代金ですが、それ自身の代金が明確であれば上記Bの情報料と同様に扱います。キャラクターの所有者にキャラクター以外の部分を一緒に作成させその動きをプログラム化していた場合でプログラム代金とそれ以外の代金が合理的に区別できない場合には、上記Cと同様な扱いとして自社利用ソフト扱いとなります。