ソフトウェア開発の会計実務Q&A
T ソフトウェア開発と売上
Q4. 従うべき会計基準はなんですか?
: 私どもは資本金5千万円の小企業です。将来的には株式公開を目指していますが、当面は継続的に売上を計上できる体制にすることを目的に閉鎖会社のままでいようと思います。その場合の採用すべき会計基準はなにがありますでしょうか?
A3.
結論: 貴社は中小企業の会計に関する指針に従って会計処理すればよろしかろうと思います。
説明: 現行の会計関係の法律等を大まかに整頓してみますと
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制定機関 |
性格・特徴 |
会社法 会社法施行例 会社法施行規則 会社法計算規則 |
法務省により制定 |
全会社に対して適用されます。 *資本金5億円以上負債総額200億円以上の会社には公認会計士(監査法人)の監査が必要。 |
金融商品取引法 証券取引法施行令 企業内容開示内閣府令 財務諸表等規則 企業内容開示ガイドライン |
金融庁・内閣府令 |
有価証券報告書や有価証券届出書提出会社(証券取引所等の上場会社、1億円以上の募集による株式の発行した会社等) *公認会計士(監査法人)の監査が必要。 |
企業会計基準・注解 監査基準 |
金融庁企業会計審議会 |
経済界・学会等の広範囲から参加した民間の専門家集団ではあるが、金融庁の諮問機関である。 |
各種企業会計基準 |
財団法人 財務会計基準機構 ・企業会計基準委員会 |
経済界・学会等の広範囲から参加した民間の専門家集団が調査研究したものを提言の形で報告する。 |
中小企業の会計に関する指針 |
日本公認会計士協会 日本税理士会連合会 日本商工会議所 企業会計基準委員会 |
中小企業に合致するようなレベルでの会計基準として考えられる。 |
* 実務的には公認会計士(監査法人)の会計監査が入った場合には、中小企業の会計に関する指針以外の基準の厳密な適用が求められます。
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公認会計士(監査法人)の会計監査が必要な場合とは、一般投資家が多数おり彼らの投資意思決定たる会社が公表する財務諸表が正しいかどうか証明しないと一般投資家が困る場合ですので、概ね大会社が対象になりますし、大会社は海外にも進出します。いきおい国際会計や米国の会計との調整から各種会計基準も国際化厳密化になってきます。他方海外とは関係のない我が国での中小企業には、その国際会計レベルの会計基準を適用させるには負担が多すぎますし,もっと柔軟に対応があって然るべきものと考えられて制定されたのが、中小企業の会計に関する指針です。
各種の国際会計取り入れていますが、柔軟に対応されています。もともと中小企業庁と税理士会から中小企業会計基準が公表されてましたが、この指針で現在運営されている状態です。