ソフトウェア開発の会計実務Q&A
].工事契約会計基準及び棚卸資産会計基準の適用及び内部統制対応に関して

 Q51.請負契約を締結する予定ですが、先行で作業する場合はどのように会計処理したら良いでしょうか?

:当社は3月決算の会社です。A社からソフトウェアの開発を受託しました。しかしながら仕様の細部が固まらず、契約の締結まで至っておりません。しかし、納期等の都合もあり、作業を開始しました。約8ヶ月経過した決算期末直前において契約を締結することができました。決算期末において完成納期まであと3ヶ月となっています。この場合作業開始し2ヶ月経った中間決算の時点の会計処理と残り3ヶ月での決算期末の処理を教えてください。なお、当社の原価見積・原価進捗管理に問題はありません。

 

A51.契約締結までは進行基準の適用は困難です。中間決算では完成基準の適用となります。契約締結時において進行基準を採用できる要件が整ったため決算期においては進行基準の適用となります。

:基準55では、完成に近づいて成果の確実性が高まったことのみで完成基準から進行基準に変更することは認められないとされています。他方、進行基準適用の3つの条件(基準9)が満たされていないのが、満たされるようになった時には、その時点から進行基準を適用することになります(適用指針3・14)。

本問の場合、完成間近ではあることは確かですが、仕様も契約も固まったという事実がある訳ですので、完成間近のみという理由ではありませんので、進行基準を適用すべきと考えます。

また、逆に基準9の3つの要件をクリアして進行基準を採用していたが、工事の進行に伴って3つの用件を満たさなくなった場合には、その時点から完成基準の適用となります。その場合に過去の進行基準適用で収益・費用計上していた部分については、会計上の処理は不要で、あくまで3つの条件が満たされなくなった以降の収益・費用について完成基準の適用となります(適用指針16・17)。

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