ソフトウェア開発の会計実務Q&A
].工事契約会計基準及び棚卸資産会計基準の適用及び内部統制対応に関して

Q52.仕入検収基準が影響するため原価比例法以外の進捗度による工事進行基準の会計処理を教えてください。

当社は外注先へ作業の9割を発注し、当社はその工事の管理を中心に行っています。当社の外注先からの仕入計上基準が、外注先へ発注分が全て完成した場合に原価認識するようにしています。この場合工事進行基準を採用する場合に進捗度を工事原価比例方式でよいでしょうか?もし、工事原価比例方式以外の方法を採用した場合の会計処理を教えてください。

A52.工事原価比例方式以外の合理的に進捗度合いを算定できる方式を採用すべきです。また、会計処理は、売上原価に対応する科目には、「仕掛品=未成工事支出金」「買掛金=工事未払金」等の科目を使うことになります。

:工事を自社直営で行わず外注先にその殆どを委託するケースはよくあります。その場合に毎月検収を上げるとか部分完成で逐次検収するとか仕入計上が都度行っていれば、原価比例法で進捗度を算定しても問題はないとは思います。ただ、仕入検収を最終完成物の検収まで行わないとすると、工事進行基準を採用する場合に、進捗度合が原価比例法では、工事途中では全く原価が発生しないため、完成若しくは完成直前にならないと売上が計上できません。その場合には、直接作業時間等、より合理的な進捗度を示す別の方法によって進捗度を把握すべきと考えます。

工事進行基準を採用する場合に、仕入基準とは別に工程管理等の整備ができている事が条件であるため(基準50)、その場合に進行基準を採用するには、原価比例法以外の適切な方法(例えば作業時間比例等)によるべきと考えます(基準15/56・適用指針24)。なお、進行基準の採用と仕入検収基準の変更とは、関係はありません。

工事進行基準において、原価比例法以外の方法で進捗状況を把握した場合に、売上原価に計上する金額は発生した原価と相違することが想定されますが(進捗度合いが原価比例法と同一ならば相違しません)、その場合の会計処理はどのようになるのか?売上も進捗度合はわかるが・原価も進捗度合だと実際原価と進捗度合原価の差をどうするのか?下記設例で説明致します。

設例1:直接作業時間比例方式(売上原価が実際発生原価を上回る場合)

請負金額総額
(第1期〜第3期)

@

900,000

 

 

初年度

 

 

実際原価

A

200,000

 

 

見積総原価

B

600,000

 

 

実際直接作業時間

C

400

 

 

見積総直接作業時間

D

1,000

 

 

 

 

 

 

 

会計処理

借方

 

貸方

 

日常取引

未成工事支出金*1

200,000

諸勘定

200,000

決算時

工事未収入金

360,000

売上高*2

360,000

決算時

工事原価*3

200,000

未成工事支出金

200,000

決算時

工事原価

40,000

工事未払金*1

40,000

1. 未成工事支出金は仕掛品に、工事未払金は買掛金に適宜読み替えてください。

*2. 初年度売上高

@×C÷D

360,000

 

 

*3. 初年度売上原価

B×C÷D

240,000

 

 

 

 

 

 

 

設例2:直接作業時間比例方式(売上原価が実際発生原価を下回る場合)

請負金額総額

(第1期〜第3期)

@

900,000

 

 

 

初年度

 

 

実際原価

A

200,000

 

 

見積総原価

B

600,000

 

 

実際直接作業時間

C

250

 

 

見積総直接

作業時間

D

1,000

 

 

 

 

 

 

 

会計処理

借方

 

貸方

 

日常取引

未成工事支出金*1

200,000

諸勘定

200,000

決算時

工事未収入金

225,000

売上高*2

225,000

決算時

工事原価*3

200,000

未成工事支出金

200,000

決算時

未成工事支出金

50,000

工事原価

50,000

*1. 未成工事支出金は仕掛品に、工事未払金は買掛金に適宜読み替えてください。

*2. 初年度売上高

@×C÷D

225,000

 

 

*3.

初年度売上原価

B×C÷D

150,000

 

 


 

 

ホーム

 

 

 

ソフトウェア
原価計算システムはこちら