ソフトウェア開発の会計実務Q&A
U ソフトウェア開発の原価計算 Q5〜Q22

Q8. 原価計算の対象勘定科目は何にすればよいでしょうか?

:ソフトウエア業の原価計算対象の勘定科目は何にすれば良いでしょうか?それと勘定科目ごとの原価計算方法を教えてください。

A8. 原価計算対象勘定科目

結論説明:売上高は直接にプロジェクトに直課します。原価に関しては、個別原価計算と呼ばれるプロジェクト別原価計算となります。即ち、プロジェクトに直接係る費用は当該プロジェクトに紐付きで直課し、直接紐つかない費用は何らかの基準で当該プロジェクトに配賦しなければなりません。ただ配賦を細かく行っても、全体像を見失う場合もあり、その配賦労力とその成果からすれば、人件費を対象として、基準は日々の作業時間を対象にして月次で行われる方が望ましいと思います。

科目別原価計算区分基準:参考までに勘定科目として下記に区分してみました。

(例です)

 (売上高)

プロジェクトに直課

 

(原価・費用)

製造原価

販売管理費

役員報酬

人件費配賦計算による

人件費配賦計算による

給料手当

人件費配賦計算による

人件費配賦計算による

雑給

人件費配賦計算による

人件費配賦計算による

派遣費

人件費配賦計算による

人件費配賦計算による

賞与

人件費配賦計算による

人件費配賦計算による

法定福利費

人件費配賦計算による

人件費配賦計算による

出向費

人件費配賦計算による

人件費配賦計算による

通勤代

人件費配賦計算による

人件費配賦計算による

人件費合計

 

 

福利厚生費

直課

直課

都内交通費

直課

直課

出張旅費

直課

直課

委託経費

直課

直課

顧問料

直課

直課

使用料

直課

直課

通信費

直課

直課

水道光熱費

直課

直課

地代家賃

直課

直課

減価償却費

直課

直課

ソフトウエア償却費

直課

直課

租税公課

N/A

直課

諸会費

N/A

直課

広告宣伝費

N/A

直課

会議費

N/A

直課

接待交際費

N/A

直課

新聞図書費

N/A

直課

販売手数料

N/A

直課

支払手数料

N/A

直課

振込手数料

N/A

直課

人材募集費

N/A

直課

賃借料

N/A

直課

事務用品費

直課

直課

備品消耗品費

直課

直課

修繕費

N/A

直課

受講料

N/A

直課

教育費

N/A

直課

雑費

N/A

直課

注:

直課:

当該プロジェクトの直接の原価費用とする。対応する概念は配賦。可能な限りプロジェクトにひも付きにすべき(ひも付かない場合には按分しかないがこれを極力避けた方が望ましい)。

人件費配賦計算:

    給与や法定福利費等の人件費はその人員が居るだけで発生します。それを作業時間等の合理的な方法により各プロジェクトに配賦する方法です。配賦基準は人件費の場合には各人毎にプロジェクト別の作業時間を基準とするのが適当と思います。人件費配賦表はこのプロジェクト別に人件費を配賦した表を言います。その他各人毎に時間当りの標準単価を設定し、それに実際の作業時間を乗じて、プロジェクト別人件費を把握する方法もあります。なお、直接労務費に関しては配賦という用語を使用せず直課という用語を使用する場合もあります。

原価計算に販売管理費を含めるか:

   原価算定だけの目的では販売管理費の原価計算は不要ですので上記表での販売管理費の人件費配賦計算や直課の概念は必要ありませんが、広告宣伝費・接待交際費やロイヤリティの支払など最終的な損益を表示するためには販売管理費もプロジェクト別に損益計算すべきと考えます。

 

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