ソフトウェア開発の会計実務Q&A
U ソフトウェア開発の原価計算 Q5〜Q22

Q12. 財務会計と管理会計はどこが違うのでしょうか?

:当社は、お客様へ請求できる直接プロジェクトへ直接かかった費用原価を集計したいのですが、財務会計上は直接プロジェクトと関係ない事務経費や固定費な どのどの間接経費も配賦して集計しなさいとの指導を受けています。又、コストをプロジェクトの責任者が管理できるコストと管理できないコストに分けたいとも思っています。この辺りの住み分けをどうしたら良いでしょうか?

A12.

結論 :原価計算の元データは同じですが、その加工で財務会計用の報告と管理会計用の報告に分けることが望まれます。

説明 :原価計算の目的には真実の原価を算定する目的の外、経営管理に資する目的もあり本来同一の事象を複数の表現に変えるというのは煩雑でもありますし、1つの表現で全てが分かれば問題はありません。しかしながら管理会計が財務会計と比較する用語として存在していることは、逆に財務会計では管理が充分できないということを意味しています。Q&A5の繰り返しになりますが、

財務会計が会社法や税法等に従った制度会計なので、例えば直接原価計算ができないとか間接費の配賦をしなければならないとかで、会社の都合により会計制度を勝手に変えられない不便さがあります。特に「業務毎=プロジェクト毎」の損益計算が法人税法から要求されている原価計算以外必要とされていません。

管理会計は、法的制約を受けませんので、自分が管理し易いようにすればよいのです。従い管理会計は「こうあるべきである」というのは絶対ではありません。が、この製品(=プロジェクト)は儲かっているのだろうか?この業務(=プロジェクト)に投資してよいのであろうか?この仕事(=プロジェクト)はこの原価費用で成り立っているのだろうか?等々行っているプロジェクトの損益を把握しなければ経営が成り立ちません。ここで正しいプロジェクト損益を算定して経営判断に役立つデータを提出する必要性が出てきます。

なお、持論ですが、2つに分ける以上目的をそれぞれ財務会計用と管理会計用に明確にすべきであり、例えば管理会計での損益を調整して財務会計の損益に一致させる等の事は無駄な作業ですので顧問先には勧めていません。

 

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