ソフトウェア開発の会計実務Q&A
U ソフトウェア開発の原価計算 Q5〜Q22

Q13. 原価差額の調整方法を教えてください。

:当社は、請負作業でのソフト開発と自社で利用する目的のソフトの開発を自社で行なっております。それぞれ複数のプロジェクトを有しており、同一人物が複数のプロジェクトの開発作業を行なっている場合もあります。その様な状況の下、当社は開発人員に時間当たりの標準単価を設定し、実際の作業時間に基づいて各プロジェクトに人件費を賦課させています。給与額は一定の為、月毎の標準単価と実際単価では差が生じています。この原価差額をどう処理すればよいのか、特に年度末で調整すればよいのか月次で調整する必要があるのか教えて頂きたい。

A13.

製造業の場合、自社製品は販売か在庫かという二者択一の状態になります。この状況は月次でも年度でも変わりません。従い年度末に一年間で販売した分と期末に在庫に残っている分に原価差額を按分すれば問題ありません。貴社の場合請負作業でのソフト開発だけならば、期末においてそれぞれの プロジェクトが販売していたか仕掛途中なのかで売上原価と仕掛品に按分すれば宜しいかと思われます。

 しかし、貴社はソフトウエアに計上すべきものも開発しております。ご存知のとおりソフトウエアは事業の用に供した時点から償却すべきものとされています。事業の用に供した時点とは通常月次で考えますから(年一度同時期に開始とは考えません)、月次でソフトウエアの取得価額を確定しなければなりません。

 もし、原価差額を年度一回で調整しようとしますと、年度最初の頃に完成したソフトウエアに年度中旬以降に発生した原価差額を含ませることになり、取得原価としては不適当と言わざるを得ません。更には、月次で償却していた分を年度末に遡って調整する必要があり実務的に対応ができません。従いまして、貴社にソフトウエアに計上すべき複数のPJがある限り、請負いのソフト開発を含めまして、月次で原価差額の調整をすべきと考えます。

(参考:法人税基本通達5−3−1〜5−3−9)

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