ソフトウェア開発の会計実務Q&A
W  請負業務のフロー

Q28. 請負業務の各段階での会計処理を教えてください。

:派遣業務を行っている会社の会計仕訳を実際原価計算と標準単価を使った予定原価計算に区分して説明してください。

A28. Q&A27の各段階での会計処理をQ&A21、22の実際原価計算と予定原価計算に区分けして記載します。

原価計算の概要

実際原価計算A社(人件費・間接費の実際発生額を各人の作業時間によってプロジェクト毎に配賦する原価計算を行っています)

予定原価計算B社(各人毎に人件費・間接費の標準単価を持ち作業時間によってプロジェクト毎に賦課する原価計算を行っています)

プロジェクトの登録

@   納品するまで毎月原価として計上すべきプロジェクトですので、終了するまでこのプロジェクトでコントロールします。

A   そのため、A社では勘定体系を簡単に以下のとおり区分しました。   

a、製造原価・・・・・仕掛品原価→売上原価

b、販売費及び一般管理費(以下販売管理費と呼びます)

*  20人規模のA社では、人件費を、人員別に組織上の区分で大きく製造原価と販売管理費と分けるか考えましたが、同一の人物が開発活動も行えば、営業活動も行うため、組織上の区分ではなく、機能別の区分でまず大区分するよう考えました。その結果、直接業務・開発業務・間接業務と区分しました。前2者は製造原価項目とし、間接業務は販売管理費項目としました。一旦製造原価に計上し、その後販売管理項目は他勘定振替で販売費に振替えるようにしました。

*会計仕訳ありません。

@同  左

 

A同  左

 

 

 

同左

 

 

 

 

 

 

 

*同左

派遣人員の決定・参考

特記事項なし。

各人ごとの標準単価を期初に設定しておきました。

注. 標準単価の設定方法は、このような方法で算定しました。

以下例示です。

((給与×2)÷(23×8))×1.5   

<説明> 

<例:月給¥400,000の人の場合> 

   ((400,000×2)÷(23×8))                    ×1.5 = 約¥6,500

Q&A20を参考してください。

諸経費の会計入力

@   可能な限りプロジェクトに直課するようにしています。

借方:各経費(プロジェクト別)×× 

貸方:現金預金××

 

 

注. 地代家賃は製造原価と販売管理に面積比により区分しています。

@原価発生時の入力の際には、PJ別には入力しません。

借方:各経費(プロジェクトなし「その他共通」)×× 

貸方:現金預金××

 注. 同左

給与支払時

A社は毎月25日に給与支払った際に全員分

a. 借方:給与手当(プロジェクト名「その他」)×× 貸方:現金預金××預り金 ××

と仕訳をしています。A社が使用している市販の会計ソフトは部門とは別に、プロジェクトを持てるように設定はされています。

「その他」プロジェクトは原価計算実施後残高が0となる経過プロジェクトです。

b. 通勤代も同様に、全員分まとめて借方:通勤代、プロジェクト名は「その他」として計上します。

c. その他、アルバイトの雑給・出向費・派遣費等も給与手当と同様にプロジェクトその他で計上します。

d. 賞与繰入額も月末で引当計上しておきます。

e.社会保険料・労働保険料の法定福利費も給与手当と比例関係にあるので、月末に引当計上しておきます。

B社は毎月25日に給与支払った際に全員分

a. 借方:給与手当(プロジェクトなし「その他共通」)×× 貸方:現金預金××:預り金 ××

と仕訳をしています。A社と同様ですがプロジェクト使用しないという点に違いあります。

 

 

 

b. 通勤代も同様に、全員分まとめて借方:通勤代、として計上しますが、プロジェクトはありません。

c. その他、アルバイトの雑給・出向費・派遣費等も給与手当と同様に計上します。なお、プロジェクトは入れません。

d. 賞与繰入額も月末で引当計上しておきます。

e. 社会保険料・労働保険料の法定福利費も給与手当と比例関係にあるので、月末に引当計上しておきます。プロジェクトは入れません。

原価計算時

人件費を各人別各勘定毎に按分します。

金額×プロジェクト作業時間÷総作業時間=プロジェクト配賦金額。

人件費及び諸経費を「直接労務費」「製造間接費」という名称で各人毎の作業時間で各プロジェクトに賦課します。

人件費単価×プロジェクト作業時間=プロジェクト賦課直接労務費。製造間接費もこれに準じます。

原価計算後仕訳

@この時点の会計ソフトでは、人件費は各勘定毎にその他プロジェクトに、集計されたままですので、これを、人件費配賦表に基づいて、各プロジェクトに振り替えます。諸経費は各プロジェクトに賦課されている状態です。

a. 借方:<>給与手当(プロジェクト名「A」)×× 貸方:給料手当(プロジェクト名「その他」)××

<>給与手当(プロジェクト名「B」)××

貸方:給料手当(プロジェクト名「その他」)××

・給与手当(プロジェクト名「人事」)××

貸方:給料手当(プロジェクト名「その他」)××・・等々続く。

 

b. 通勤代・アルバイトの雑給・出向費・派遣費等も給与手当と同様に、プロジェクト「その他」から各プロジェクトに振り替えます。

*直接業務や開発業務は製造原価に計上します。間接業務は販売管理費に計上します。

A次に正しく入力されたか、検証します。

a. 会計ソフトのプロジェクト「その他」は、全て振り替えられた後ですので、残高は0であるべきです。

b. 差が生じている場合には、振り替え漏れ・二重計上・金額間違えが考えられますので、振替伝票と人件費配賦表との照合が必要です。

c. 人件費配賦表での数値は、四捨五入計算での数値ですので、端数の不一致が生じます(各人別に行っていますので、人数の約半数の差額が生じます。その差額は、A社においては、全てプロジェクト「総務」にもっていきます。

 

@この時点で原価要素毎に人件費・諸経費がプロジェクトに賦課されていない状態になっています。

 

a. 借方:直接労務費(プロジェクト名「A」)×× 貸方:直接労務費(プロジェクトなし「その他共通」)××

・借方:製造間接費(プロジェクト名「A」)×× 貸方:製造間接費(プロジェクトなし「その他共通」)××

*製造原価の勘定科目と仕掛品或いは売上原価の勘定科目の内訳に「直接労務費」と「製造間接費」の科目を作成しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

A プロジェクトなしの「その他共通」の借方には、原価要素勘定に残高があり、貸方には各プロジェクトに振り替えられた直接労務費や製造間接費があります。この差額が原価差額です。直接労務費や製造間接費は全社ベースですと行って来いの形となりますので0となります。

 

B原価差額は標準単価で各PJに配賦していますので、実際原価との差額ですので本来調整しなければなりません。、小規模会社なため、そのまま製品原価として売上原価にもっていっていくこともできますが。原価差額を決算時等に調整する場合には、貸借対照表の棚卸資産項目と製造原価の人件費・経費の項目に原価差額勘定を設定し、

借方:原価差額(貸借対照表)××

貸方:原価差額(製造原価)××

と入れます。結果全社レベルでは原価差額は製造原価に残りません。

仕掛品及び売上原価振替

原価が発生しているが売上は翌月以降になる分については、貸借対照表の仕掛品勘定に計上します。逆に、売上計上月には、仕掛品から製造原価に振り戻し(期首仕掛品として)、売上原価に計上することになります。なお、A社では、仕掛品に計上すべきプロジェクトが多い場合ため、仕掛品勘定は補助科目を設定し、プロジェクト名を登録しています。

@仕掛品計上:借方:仕掛品(貸借対照表)××

貸方:期末仕掛品か他勘定振替(製造原価)××

A売上原価計上:借方:期首仕掛品(製造原価)か売上原価勘定××

貸方:仕掛品(貸借対照表)××

同左

 

 

 

 

 

@     同左

 

A     同左

 

 

(3)実際原価計算タイムレポートシステム費用入力

@タイムレポートの「費用」の合計と会計ソフトの残高試算表の「その他プロジェクト」との一致を確かめる。

タイムレポートの「費用」の額と給与明細とを各人別に照合する。

a給与。

b法定福利費。

c通勤費。

d賞与引当金繰入(各人別明細)。

(4)予定原価計算では、期初に各人別に標準単価をシステムに入れてあるので、この手続きは不要。

 

(4)会計ソフトへの原価計算結果の取り込みの検討

@配賦後の残高試算表「その他プロジェクト」を打ち出し、配賦対象のa給与、b法定福利費、c通勤費、d賞与引当金繰入が「0」になっているか確かめる。

(ア)  「0」になっていない場合、四捨五入分の端数は、仕訳を検索し「販管共通」にて手書きにて修正する。

A配賦後の会計ソフトのプロジェクト原価集計表とタイムレポート人件費配賦表と照合し一致を確かめる。

 

(3)労務費配賦及び製造間接費配賦並びに原価差額処理の確認

@ 労務費配賦

直接労務費(プロジェクト別)/Cr直接労務費(プロジェクトなしその他共通)

合計残高試算表全社にて直接労務費に数字が残っていないか確認する。

A 製造間接費配賦

製造間接費(プロジェクト別)/Cr製造間接費(プロジェクトなしその他共通

合計残高試算表全社にて製造間接費に数字が残っていないか確認する。

 

B 原価差額

原価差額(製造共通)/原価差額(プロジェクトなしその他共通):借方・貸方双方に出る。

合計残高試算表全社にて原価差額に数字が残っていないか確認する。

(5)間接費の1次配賦

@人件費配賦後後のプロジェクト原価集計表を打ち出し以下の検討を行う。

A複数の間接プロジェクトの金額を1つの間接プロジェクトに集計する。

Dr間接費配賦額(製造共通)/Cr間接費配賦額(各製造間接PJ)となっているか

振替後は各製造間接PJの当期製造費用計は0となっているか

 

上記(4)の1次配賦前のプロジェクト原価集計表に基づき数字はプロジェクト別原価集計表の「当期製造費用の合計」から持ってくる。

(5)間接費の1次配賦

@人件費・経費配賦後:同左

 

A同左

 

 

 

 

 

 

(6)間接費の2次配賦

間接費配賦額リストを打ち出し以下の検討を行う。

@     一次配賦後の製造共通費を直接プロジェクトに配賦しているか。

A     配賦方法は配賦基準は直接プロジェクトの労務費割合で行っているか

B     Dr間接費配賦額(各直接プロジェクト)/Cr間接費配賦額(製造共通)となっているか

C     振替後のプロジェクト原価集計表を打ち出し、製造共通プロジェクトの当期製造費用計は0となっている事を確かめる。

(6)間接費の2次配賦

同左

 

@同左

 

A同左

 

B同左

 

C同左

残高試算表を基に、プロジェクト別の売上と売上原価を対比させ

@     売上原価の計上に漏れがないか?売上の計上に漏れがないか確かめる。

A     原価率の異常の有無を確かめる。

B     仕掛品の残高明細より計上漏れ、引落し漏れの異常を確かめる。

同左

 @同左

 

A同左

B同左

(7)残高試算表

2次配賦後・他勘定振替後の残高試算表(全社)を打ち出し、以下の事項を検討する。

@a給与。b法定福利費。c通勤費。d賞与引当金繰入について、当月発生額が製造原価及び販売管理費に正しく計上されているか、給与明細での製造・販管区分後の金額と一致しているか

A各振替額の確認

(7)残高試算表

同左

 

@同左

 

 

 A同左

 

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