ソフトウェア開発の会計実務Q&A
Z 月次決算資料と予算との対比

Q39. 月次決算資料と検討内容はどうしたらよいでしょうか?

:私どもは、ソフトウェア開発業務を行っている会社を設立してまだ5年目のです。年度ごとに業務は拡大していますが、利益が出ている業務と出ていない業務が、業務が終了しないとわかりません。また年度損益も締めてみないと分からない状態です。月次の決算はなるべく早く締めるようにしているのですが、請求書の到着や正確な数字を確定するためにはどうしても翌月の20日前後になってしまいます。そうするともう営業は次の月の作業も終わりかけており、経理の作業は実績を追うのに精一杯です。月次決算の位置づけとどのような資料を出せばよいのか教えてください。

 A39. 結論

:月次決算の資料は法律で定められている訳ではなく会社の任意です。月次決算の目的は営業・製造のアクションプランの対応と年度損益の見通しの把握と言い切れます。従って請求書の到着等を待っていたら間に合いません。概算での未払計上です。支払う段階で概算と実際の差額を調整すれば足ります。

説明

:ある会社の例です。

1. 月次決算損益検討会(報告と検討)の実施。

(1)   財務諸表は利用しなければ、意味をなしません。財務諸表はアクションの為のデータです。

(2)   月次でアクションを起すべきです。1年待ったら意味はありません。

(3)   月次決算損益検討会は

@     月次損益報告会・・・(過去数字等の提出と予定の加味による将来予測)

A     月次損益検討会・・・(採るべきアクションの確認と将来予測の確定)

 からなります。

(4)   当月の数値の結果は翌月半ばにはアクションを起しておく必要があります。従い月次決算検討会は翌月の10営業日に行い、逆算し月次決算報告会は翌月の5営業日に行う、月次決算は翌月の3営業日には締めておく必要があります。

(5)   会議を有効にするために、事前に数値の確認と議題の確認が必要です。

 

2. 月次決算のタイミング

(1)   月次決算では、翌月3営業日までには締めることができるはずです。

(2)   締めは翌月行うのではなく、当月中に締められるものは締めることが必要です。

(3)   仕入請求書は早く送ってもらう必要がありますが、それが無理ならば仮計上も可能なはずです(自社で検収を行っていればできるはずですし、自社検収結果と請求書の照合の手続きにもなります)。

(4)   売上も納品ベースならば、自社で即把握できるはずです。

 

3. 月次決算報告会

(1)   損益及びキャッシュフローを良くするアクションを行う為の資料の提出

(2)   その資料からの疑問点の提出とアクション案の提出

(3)   前回損益検討会で決定したアクションの報告

を目的とします。

 

4. 月次損益検討会

(1)   報告会での結果を受けて各部門でのアクションの確定

(2)   3ヶ月先までの達成可能な予測数値の確定

(3)   年間損益の見通し

   を目的とします。

例1.

月次損益報告会及び検討会マニュアル

月次損益
報告会

書類名称

開催日

翌月5営業日

財務経理よりの報告書種類

(1)貸借対照表(全社・月次推移・実績)

(2)損益計算書(全社・プロジェクト別・月次推移・予算対比・実績・予定)

(3)製造原価報告書(全社・プロジェクト別・月次推移・予算対比・実績・予定)

(4)キャッシュフロー表(全社・プロジェクト別・月次推移・予算対比・実績・予定)

(5)その他滞留売掛金等資料

各部門からの報告

(1)前月の損益検討会結果とその対応策の結果報告(メモ)

(2)営業からの売上予定明細(プロジェクト別・月次推移)

(3)営業からの営業活動予定明細(プロジェクト別・月次推移)

(4)各部門からの業務報告

書類の見方

書類

見方

全体

(1)実績を受けて、改善すべき点・疑問点の洗い出しを行う事。

(2)通期での損益予測を確実なものにする事。

貸借対照表

全体像の把握・異常な増減項目の把握

損益計算書

製造原価報告書

キャッシュフロー表

その他(売上明細)

その他(売掛金明細)

その他(売上予定明細)

その他(営業活動予定明細)

@     月次推移での異常な増減項目の認識。

A     予算との対比での増減項目の認識。

B     販売管理費は勘定科目毎に月次推移・予算対比を行う。

C     滞留状況の把握。

D     回収交渉の報告。

E     信用限度額の引下げ・接待交際・大量販売とリベート等の採るべきアクションの提案。

その他(在庫明細)

その他(買掛金明細)

@滞留状況の把握 A売れ筋の把握

B仕入増と値引き交渉等の採るべきアクションの提案。

 

月次損益報告会及び検討会マニュアル

月次損益検討会

書類名称及び見方

開催日

翌月10営業日

各部門からの報告

(1)   アクション案(活動予定とその結果予測)

(2)   当月・翌月・翌々月の損益・キャッシュフロー案

見方

(1)損益報告会での改善案に対するアクションの確定

(2)各部門間でのアクションでの協力

(3)今後3ヵ月後の損益及びキャッシュフローの確定(財務経理では予算の見直し)

 例2. 月次損益計算書・予算実績対比表等

別紙参照下さい。

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