ソフトウェア開発の会計実務Q&A
Z 月次決算資料と予算との対比

Q40.プロジェクト別予算はどのように作成すれば良いでしょうか?

:私どもでは、売上予算・経費予算・人事予算・投資予算と区分けしてそれぞれ作成していましたが、全体を合わせてみると売上が多いにも係わらず費用や人員が足りない等全体での整合性を取るのに苦労しております。また投資予算のようにこの投資をしたら経費がどのくらいかかるのか、いつ売上が計上できるのか等の問題や、この投資を入れたら(或いは外したら)全体に与えるインパクトはどうなるか等の全社的な問題もあります。損益計算と資金管理の観点から予定損益計算書と予定キャッシュフロー表(予定の資金繰り表でもよいです)をそれぞれを整合性とりながら作成したいですが、どのようにしたらよいでしょうか?

 A40.

結論:

整合性及び投資予算の件は、区分の仕方をプロジェクト(或いはセグメント)別、即ち業務毎に売上・経費・人員を把握して、そのプロジェクト毎の予算を積み上げていけば全社の予算となります。損益計算と資金管理は、例えば固定資産のように購入時は損益計算には出ずキャッシュフローには出るが、減価償却費は損益計算には出るがキャッシュフローには出ない等の話し(その他有価証券投資等も含まれる)ですが、これは調整しなければなりません。全体で調整するか個々で調整するかの違いだけです。これはエクセルでの表でもできますが、職人芸に近いもので、ましてプロジェクト責任者に会計知識がある人ばかりではないため、予算策定のマニュアル化ソフト化が必要かと思います。

説明:

最初に概念の説明ですが、ここでいうプロジェクトとは単なる業務のことで売上に紐付く業務もプロジェクトですし、紐付かない例えば総務業務や経理業務も総務プロジェクト、経理プロジェクトです。キャッシュフロー(表)も資金繰り(表)も同じ概念です。

会社が大きく会社の業務も軌道に乗って部門がそれぞれ予算を立てて、部門損益で人事評価するまでの会社ならば、教科書や雛型ででてくる売上予算・経費予算・人事予算・投資予算と区分けして作成する方法も良いと思います。しかし規模も小さく成長過程にある会社では、人員は雇用したがそれに見合う売上業務を取れなかったりすると、それだけで会社全体の損益に与える影響は大きいです。従ってプロジェクト毎に必要な人員を要求してその人数の積み重ねで会社全体の人員数を確定させた方が良いと思われます(費用も同様です)。個々のプロジェクト毎の損益を検討するほかに、全体としてこのプロジェクトは延期する或いは取り込む等の判断をすればよいと思います。

参考までに私が顧問先に勧めている方式及び予算策定ソフトの帳票をお見せします。

予算策定マニュアル(3月決算の場合)

 

 

予算作成方針説明会(12月末)

経理主導でプロジェクト責任者に対し作成表を配賦し記入方法を説明する。

プロジェクト予算の提出(1月中旬〜末)

プロジェクト責任者からの報告(表及び口頭)

経理での吟味(2月初旬〜中旬)

本当に必要な費用か、売上は本当に達成できるか?

経理からの中間報告(2月中旬)

及び人員配員調整会議

各プロジェクト責任者へ報告とともに、人員のプロジェクト毎の配員の確定。

プロジェクト再予算の検討(2月中旬〜末)

経理とプロジェクト責任者との会議のほか、担当取締役の参加で確定。

全社予算の確定報告(3月中旬)

社長からの意思表明。

なお、上記表は理想を記載していますが、会社の規模によって経理が鉛筆なめながらやる場合もあるでしょうが、ポイントはプロジェクト責任者に作成させ握ることです。

 

参考  予算管理帳票

@     プロジェクト別損益表とキャッシュフロー(CF)表

A     全社の損益表とキャッシュフロー(CF)表

B     プロジェクト責任者の作成資料(売上・費用・人件費(若しくは人員要求表)。

     プロジェクトの積み重ねが全社の表です。

     このソフトでは、一つの事象を損益表とCFに調整できるようになっています。

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