ソフトウェア開発の会計実務Q&A
[ 年次決算資料(株主総会・税務申告)

Q43. 会計と法人税との違いとその処理方法ついて教えてください。

:当社は財務の健全化を金融機関から要請されており、回収が困難な売掛金の貸倒処理と十分に販売できるかどうか不明のソフトウェアについての減損処理が課題になっております。幸いなことに当期はかなりの利益が見込めそうなので税金対策からも貸倒処理とソフトウェアの早期の償却を行おうと思っています。如何でしょうか?

 

A43. 結論:比較的慎重に会計処理する方法である貸倒処理や減損処理は財務の健全化につながりますのでお勧めできます。但し、法人税法上は一定の要件(先方の倒産とか販売ソフトの断念とか)がないと損金に計上することができませんので、要件をクリアできない限り節税はできません。なお、会計上の処理とは別に売掛金の回収は実際に督促回収しなければなりませんですし、ソフトも販売できるように営業活動をしなければなりません。

説明:法人税の申告書は株主総会で承認された損益計算書の当期損益から計算が始まり、上記相談のような会計上は費用処理した貸倒損失額や減損損失額は、それが法人税法上の要件をクリアできない場合には、法人税申告書別表四にて加算処理し(否認処理し)当期損益にプラスさせて課税所得を算定します。その課税所得に対して税率を乗じて納税額を算定します。

その後、先方が実際に倒産した場合等には法人税法上要件はクリアになるため、会計上でなにもせず法人税申告書別表四にて減算処理し(容認処理し)、当期損益に所得をマイナスさせて課税所得を算定します。ソフトウェアについては、法人税法上償却が認められていますので、法人税法上償却額の枠内で減損処理した額を取り崩して法人税申告書別表四にて減算処理し(容認処理し)当期損益にマイナスさせていきます(当然に販売断念の場合には全額損金処理が認められています)。

このように会計上と税務上では考え方が要件が異なります。その場合には会計上と税務上の差異を法人税の別表で調整することになりますが、それとは別に会計上税金控除後の当期損益正しい発生主義に基づいた損益で表示すべきとの議論がでてきます。税引前損益まで正しい会計処理していたが法人税額が正しい会計処理額で表示されないと税引後の当期損益が正しくなりません。そこで正しい法人税額(あくまで会計上の正しいと思われる額)で表示する必要があります。それが税効果会計です。税効果会計は上記相談のような税務上否認された貸倒額や減損額に税率を乗じて算定した法人税等調整額を損益計算書の法人税等の下に表示し法人税額全体を加減する方式です(あくまで損益計算書上の話で実際の税額を調整する訳ではありません)。相手勘定に繰延税金資産(払い過ぎた税金とか後で戻され税金とか呼ばれていますが?)や繰延税金負債が使用され貸借対照表に表示されることになります。

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