ソフトウェア開発の会計実務Q&A
V  開発派遣業務のフロー

23. ソフトウェアの請負作業についての工事進行基準の適用について教えてください。

Q23. 近時、ソフトウェアの請負業務も工事進行基準の適用があると聞いていますが、どのような条件の場合に適用になるのでしょうか?また、売上高の計算方法を例示にて教えてください。

 A23. 企業会計基準委員会より平成191227日付けで草案として工事契約に関する「会計基準」と「適用指針」が公表されました。

(1)主要なポイントは以下のとおりです。

 

ポイント

内      容

適用時期

平成2141日開始事業年度以降に着手する工事契約から適用。但し、平成2141日開始事業年度期首の工事残高も対象とすることが可能「会計基準2325」。

適用業務

仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うもの。で受注制作のソフトウェアも含まれます「会計基準45」。単なる役務サービスの提供は対象外です「会計基準3032」。

工期に関して

工期の1年超の有無は関係ありません。会計期間を跨ぐ場合には対象となります「会計基準52」。従い長期請負工事という概念は存在しません。

工事進行基準適用の条件

下記条件が満たされない場合には、完成基準の採用となります。

@ 工事収益総額が信頼できる事。・・能力や外部環境から工事完成の確実性が高く、契約で対価が明確である事。

A 工事原価総額が信頼できる事。・・見積りが実績と対比でき、適宜工事原価総額の見積り変更が可能な事。

B 決算日の進捗度が信頼できる事。

「会計基準915

*契約書と実態が乖離している場合には、実態が優先「会計基準41」。

進捗度算定方法

原価比例法「会計基準6」の以外の方法も認められている。例示として直接作業時間方式や施工面積方式が掲載されている「会計基準15,57」。

見積総原価の変更

いわゆるキャッチアップ方式として、当期の損益に反映させる。理論的には前期損益修正や当期を含む将来に反映させる方法も考えられるが、基準では過年度には遡った処理はしない(基準1658)。

損失見込

完成基準・進行基準の採用に係わらず、損失見込額を工事損失引当金として計上する「会計基準1921」。未成工事支出金(棚卸資産)からの減額はしない「会計基準6069

(2)原価比例法の計算例

当期売上高

請負金額

×

当期末累計実際発生額

前期以前の売上高累計

当初見積総原価+見積修正額

 

設例:請負金額 @900,000

 

 

初年度

2年度

実際原価

A 200,000

  C 220,000

見積総原価

B 600,000

  D 640,000

 

 

 

回答

 

 

E 初年度売上高

@×A÷B

300,000

F 第2年度売上高

@×(A+C)÷D−E

290,625

参考資料:PJ別作業進捗状況表

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